THE BALLAD OF SHERWOOD FOREST(1)
イングランドは多くのヨーロッパの国々よりもはるかに北にあるが、温暖な気候を有している。雨がよく降るおかげで田園地帯は青々としていて、多くの美しい湖が豊かに水をたたえている。何世紀にもわたって有名な地方が、イングランドの中央にあるノッティンガムシャーのシャーウッドの森である。厳しい法律によって、この森とそこに住む鹿たちは守られていた。唯一、王とその家来だけがそこで狩りをすることを許されていいた。
しかし伝説によると、一人の有名な無法者ロビンフッドとその仲間たちがシャーウッドの森に住んでいる鹿を狩るだけでなく、森を通って行く金持ちたちから金品を奪ったりした。この連中は王の定めた法律に従わないまったくの無法者だったが、貧しい人を助けるために金持ちから巻き上げていたので、一般大衆からは愛されていた。
実際、ノッティンガムの哀れな州長官は、この無法者の一味に対して何もすることができなかった。州長官が現れるといつも、ロビンたちは木々の中に消えてしまったと言われている。また一味全員が、メジャーオークと呼ばれる有名な木の中に隠れることができたとも言われている。この巨大な木は幹周りが33 フィート(約10m)もあり、枝は92フィート(約30m)にも広がっている。
グリーン一家はシャーウッドの森で開かれているロビンフッド祭に出席する為にジャクソン一家とともに出かけ、アラン・アデールのバラッド上演を見ているところである。またもや長官が無法者たちを捕まえようとしたが、またもや失敗。州長官と部下たちが舞台から退場した直後、ロビンフッドと一味が舞台の中央にあるメジャーオークの中から舞台へと飛び出てくる。ロビンフッドがリトルジョンと話している。「リトル」ジョンは、実際は一味の中で最も大きな男だった。
ロビン:リトルジョン、ちょうどあのいまいましい州長官が俺たちの一日を台無しにしようと馬でやってきたときに、俺はお前にあのハープを持った若者について尋ねていたよな。
L.ジョーン :そう奴はよくやってきて、きれいなメロディーを奏でるぜ。
ロビン :リトルジョン、ハープの調べは世界で一番美しい。聞けば気分爽快、頭脳明晰さ。
L.ジョーン:ほら!また奴がきたぜ。でも今日は歌ってもいないし楽器も弾いていないな。
ロビン :ちょっと、お若いの。名は何という?仕事は何をしている?そしてなせ今日はいつもの素晴らしい曲を弾いていない?
アラン:私の名はアラン・アデール。旅の音楽家です。今日弾いていないのは、あまりの失望と悲しみのため。
ロビン :よしよし、若いアラン・アデールよ。その深い悲しみの原因は何だ?
アラン:私は昨日、美しい女性と結婚する予定でしたが、彼女の父親が突然心変わりをして、彼女を嫁にやると金持ちの年老いた男と約束してしまったのです。
ロビン :それではアラン・アデールよ、もしお前を助けてやったら俺と仲間たちにいくら払う?
アラン:私が持っているものは、花嫁に渡すつもりだったこの金の指輪だけです。
ロビン :心配するな、アラン・アデール。俺たちが花嫁を勝ち取るのを手伝ってやろう。
アラン:ああ旦那様、もうそうしてくださるなら、私はあなたに変わらぬ誠を誓います。でも式は今日の正午ですし、チャベルはここから5マイル(約8km)も離れています。
ロビン ・任せておけ!
THE BALLAD OF SHERWOOD FOREST(2)
幕間に、舞台中央の大きなオークの木が回転し、チャベルの祭壇辺りに変わる。司教と老人が祭壇の前に立って待っている。花嫁と父親はまもなく到着することになっている。そこへロビンフッドが舞台に駆け上がってくる。彼はアラン・アデールのハープを手に持っている。
司教:何かこ用で?
ロビン :はい。私は国中で一番のハープ奏者でして、花嫁のお父上に今日の式でハープを演奏するよう頼まれているのです。
司教 .どうぞ、どうぞ前の方にきてください。待っている間に、何か私たちのために弾いてもらえませんか?
ロビン :まあ、座って式が始まるのを待った方がいいと思います。そうすれば、私の演奏はいっそう素晴らしくなり、みなさんもきっと気に入ってくれるでしよう。
ちょうどそのとき、花嫁の父親がチャベルに入ってくる。とても満足げな顔をしている。しかし後ろを歩いている花嫁はとても悲しそうで、失意に沈んでいる。彼女は泣いている。
ロビンはハープを手に持って立ち上がる。もちろんロビンはハープの演奏の仕方をまったく知らないが、これからすることはちゃんとわかっている。服の中に隠しておいた角笛を取り出し、それを3回吹き鳴らす。角笛のこだまが木々の間に響き渡ると、緑色の衣に身を包み、長い弓矢を持った十数人の無法者たちが木々の間から走り出てくる。アラン・アデールも一赭だ。
ロビン この若い美しい女性がどうしてこの老いぼれの金持ちと結婚できようか。彼女自身に花婿を選ばせろ!!
司教 :式は挙行されるべし!花嫁のお父上はこの立派な御仁にお姫様を渡すと約束したのだ!
ロビン :そうとも、挙行されるべきだが、それはこのかわいいお嬢さんと彼女自身が選ぶマ胥との間でだ!みなさんよろしいかな?
だれも反対しなかった。娘は、アラン・アデールを選んだので、無法者たちは「リトル」ジョンに司教の祭服を着せた。どう見ても間抜けな司教だったが、アランとその美しい娘は結婚した。無法者の一味は森へ戻り、メジャーオークの下で盛大な宴を行った。アラン・アデールとかわいい花嫁が主賓であった。
このようなロビンフッド伝説の生まれ故郷シャーウッドの森は、次第に産業革命の犠牲になっていった。木々は船や家を作るための材木や、工場の燃料として使われるために伐採された。また、石炭が森の下から見つかり、鉱山は開かれた。
しかし、ついにはシャーウッドの森の自然の美しさを守り、回復させるための計画が作られた。2002年、イングリッシュ・ネイチャーという政府に動植物や環境について提言する組織が、シャーウッドの森を、200以上ある国立自然保護区の一つとして登録することを発表しシャーウッドの森では、大きなオークの古木を見ることができる。1000本以上もあり、中には500年を越えるものもある。これらの古木は珍しい鳥や昆虫の住みかになっている。いつかこの森を訪れて、自然の驚異を楽しむことをお薦めする。