PROGRESS21 BOOK3 LESSON7 READ 和訳

THE LONG ROAD TO THE FIFA WORLD CUP

4年ごとに開催されるワールドカップの決勝戦ほど、世界中の多くの人々によって観戦されるスポーツイベントはおそらく他にないだろう。フットボール、またはサッカーは確かに世界中で最も人気のあるスポーツだ。それは、4千万人以上の女性を含む2億5千万人によってプレーされている。

 

 

フットボールは近代のスポーツではない。古代ギリシャ人はフットボールのようなものをしていた。ボールを蹴ったり、ボールを持って走ったり、手を使ってボールをパスしたりしていた。古代中国の兵士たちは皇帝の誕生日のためにフットボールをした。ゴールは高さ10メートルの二本の竹の間に張られた網であった。日本の「蹴鞠」もまた古代フットボールの一種である。

 

 

フットボールは昔のイギリスの町や村で人気があった。男性だけでなく女性も参加する祝日のスポーツだった。ルールもグランドもなかった。選手たちはボールを奪い、それを自分たちの町へ持ち帰ることになっていた。試合はたいてい一日中行われ、とても乱暴なものだったので、多くの人が腕や足を骨折した。実際、幾人かの王はこの危険なスポーツを法律で禁止しようとさえした。

 

 

19世紀には、フットボールはイートンやハーローのようなパブリック·スクールで行われるようになった。これらの学校は「パブリック・スクール」と呼ばれたが、実際は金持ちや有力者の息子たちのための、費用のかかる私立学校であった。フットボールの試合は学校生活の重要な一部になった。このスポーツを通して生徒たちはどのように自分自身を制御し、チームの士気を高めるかを学んだ。

 

 

これらのパブリック·スクールの多くの卒業生がケンブリッジ大学に進学し、そこで1848年のケンブリッジ・ルールを作成した。今日のフットボールの最も重要なルールの二つはこれらのケンブリッジ・ルールから始まった。一つは「反則」の概念である。

言い換えると、試合中にやってはいけないことがあるということだ。もう一つは、「プレー中」という考えである。ボールがピッチの中にある間のみプレー中であるということである。

 

 

1863年の10月26日、いくつかのロンドンのチームやクラブのキャプテンや代表が集まった。何時間も議論した末、彼らはついに一連のルールについて合意に達した。また、フットボール協会(FA)を設立することにも合意した。8年後、最初のFAカップ大会が開催された。(「サッカー」という用語は「Association(協会)」という単語の"soc"の文字からきている。)

 

 

フットボールの人気がますます高くなっていったので、クラブはよい選手を見つけて確保するため、選手たちにお金を払い始めた。 FAはフットボールをノンプロのまま保とうとしたが、多くのクラブが秘密で選手たちにお金を支払い続けた。ついに1885年、FAはプロ・フットボール·リーグ設立に助力することに合意した。これが、現代フットボールの始まりであった。

 

 

19世紀のイギリスは世界中に広がる巨大帝国だったので、フットボールもヨーロッパだけでなく他の大陸へと急速に広がった。FIFA (国際フットボール協会)が1904年にフランスで設立され、最初のワールドカップ大会が1930年にウルグアイで開催された。やがて、その道は女性にも開かれ、女性競技者のための最初のワールドカップが1991年に中国で行われた。

THE UNION JACK

国旗を掲げる、もしくは「旗の色を見せる」ことは、戦時中だけでなく、平和な時代にも、特にワールドカップやオリンピックのようなスポーツ·イベントではとてもありふれたことになった。国旗の色やデザインは、その国の国土や国民や歴史を象徴している。

 

白地に真っ赤な朝日が描かれた日本の「日の丸」は、世界で最もシンプルな国旗の一つである。一方、アメリカの国旗はとても複雑だ。最初の13の植民地を表わす紅白の13本の横縞と、青地に現在のアメリ力50州を表わす50個の白い星が描かれている。

 

トムが競技場に入ったときに見た旗は、白地に聖ジョージの赤い十字が描かれたイングランドの旗であった。スコットランドにもまた独自の旗、聖アンドリューの十字の旗がある。それは青地にエックスの形の白い十字が描かれている。ある古い伝説によると、戦いで大きな勝利を収める前の夜、聖アンドリューがスコットランドの英雄のもとに現れたということだ。

 

1603年、イングランド王ジェームズ1世として王位に就いたスコットランドのジェームズ6世はこの二つの旗を一つに合わせ、最初のユニオンフラッグを作った。彼は聖アンドリューの十字の上に聖ジョージの十字を重ねた。しかしながら、スコットランドの人たちの中にはこの旗が嫌だと言う人々もいて、聖ジヨージの十字の上に、聖アンドリューの十字を重ねて自分たちの旗を作った。

 

最後に1801年、アイルランドが(イングランド、スコットランド、ウェールズから成る)グレイトブリテンに統合されたときに、また エックスの形をした聖パトリックの赤い十字がユニオンフラッグに加えられた。英国政府の建物にはためく旗は、イングランドの旗ではない。それはグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(UK)の旗なのである。そしてよりシンプルに「ユニオンジャック」なのである。