CROWN2 LESSON9 The Long Voyage Home 和訳

2003年、日本人科学者たちは300km離れた小惑星から土のサンプルを持って帰る任務を負ったはやぶさを送り出した。

これはほぼ不可能な任務だった。

on a mission:任務を負っている

 はやぶさ計画は非常に野心的なものだった。

JAXAはこの計画に非常に困難な目標を置いた。それは、イオンエンジン開発、自律航行システムの開発、イトカワからの土壌サンプルを集め持ち帰ることであった。

イトカワのような小惑星は私たちの太陽系の始まりにさかのぼるため、このようなサンプルは太陽系の起源の謎を解く助けになるだろう。

これは宇宙探査史上、前例のないものになるだろう。

 

 宇宙探査用のイオンエンジンの開発は、もっとも重要な目標のひとつだった。

ほとんどのロケットエンジンは気体と液体を使用する。イオンエンジンは電場を使う。力は非常に弱いため、1円玉を持ち上がるほどでしかない。しかし宇宙では重力がなく抵抗力もないため、少量のエネルギーであっても十分な力になりうるのだ。 

 

NEW WORDS and PHRASES

 mission:任務 sample:標本 asteroid:小惑星 impossible:不可能 origin:起源 unprecedented:前例のない exploration:探索 electric:電気 lift:持ち上げる resistance:抵抗 amount:量

 

2

 自律航行システム開発はもうひとつの目標だった。

電波が地球とイトカワ間の3億キロを伝わるのに16分かかる。非常時、はやぶさは指令を待っていられない。はやぶさが自分で状況を判断し、なにをするべきかを決断しなければならなかった。

他の2つの目標はさらに困難でさえあった。イトカワはピーナッツ型の小さな小惑星で、わずか535メートルしかない。34km/秒で飛ぶはやぶさは、宇宙にあるひと欠片の「ほこり」に当てようとしているわけだ。

これはブラジルの1ミリの的を日本から当てるようなものだ。科学者のひとりはこう述べる。

「もし、はやぶさがこれらの目標を達成したら、ほかの宇宙探査機がしてこなかったことを成し遂げたことになるだろう。」

 

 イトカワに到達することは難しいが、着陸して土のサンプルを集めることはほとんど不可能だった。最初の着陸の試みで、はやぶさは損傷した。1週間後、再び着陸を試みた。今回は、着陸しサンプル集められた。

はやぶさは帰路についたが、ほとんど間髪いれず燃料が漏れ始め、バッテリーは故障し始めた。チームはなんとかしてこれらの問題を解決したが、数日後、状況はさら悪化した。はやぶさとのすべての交信が途絶えたのである。

 

 

 

NEW WORDS and PHRASES

 signal:信号 command:命令 -shaped:-形 per:当たり dust:ほこり target:的 spacecraft:宇宙船 attempt:試みる leak:漏れる manage:なんとかする

 

 

3

 来る日も来る日も、チームはメッセージを送った。「はやぶさ、交信を待っています。応答してください」

*day in day out:来る日も来る日も

しかし、そのような長いの交信が途絶えた後、再び交信し始めることができた宇宙探査機は、歴史上なかった。

 

 はやぶさは43日間宇宙をさまよった。ついに応答はあったが、(大気圏への)再突入の絶好の機会はすでに過ぎていた。

*window of opportunity:絶好の機会

はやぶさはさらに3年宇宙に残らなければならなかった。その後、新たな問題があった。4基のエンジンすべてが停止した。

はやぶさが地球に戻ってくることはほとんど不可能だった。しかし、なんとかエンジンを修復し、チームははやぶさを再び動くようにすることに成功した。

 

 2010年6月、はやぶさはひどく傷ついてはいたが、ようやく地球に接近していた。

はやぶさはカプセルを分離することに成功し、間もなく流れ星のように燃え尽きることになっていた。摂氏約3,000度の大気圏突入の熱に耐えるようには作られていなかった。

「はやぶさ」プロジェクトのマネージャー、川口淳一郎は最後にひとつの指令を送った。「地球の写真を撮影せよ」 プロジェクトのメンバーは全員、はやぶさが燃え尽きる直前に、地球が「はやぶさ」の目にどのように映っているのかを確かめたかった。

はやぶさは何度か写真を撮影しようと試みたが、うまくいかなかった。ついに最後の最後になってこの写真を撮影した。はやぶさにさよならをした。 

 

NEW WORDS and PHRASES

 blackout:途絶 re-entry:再突入 reactivate:再起動 approach:接近する release:離す、解放する capsule:カプセル shooting star:流れ星 withstand:我慢する heat:熱 degree:℃

 

4

 2010年6月13日、カプセルは土のサンプルと共にオーストラリアの砂漠に無事着陸した。

 

 川口はこう言う。「多くの人々が、はやぶさ計画は野心的すぎるし、リスクが多すぎると言っていました。私は、それは事実だと知っていたし、計画の成功は多くの幸運の結果だと認めなければならない。

しかし、私たちは日頃から高い目標を設定しリスクを取る準備をしてきた。遠くの場所を見たければ、高い塔を建てなければならない。

 

 「必要な援助が得られれば、私たちははやぶさの20~30倍さらに遠くへ行く新しい宇宙探査機の開発にすぐさま取りかかるだろう」

 

 15,16世紀には、マゼランのような人々が金と香辛料を求めて東方への航海に出た。そして今、新しい知見と資源を求め、私たちは宇宙への「大航海時代」に入ろうとしている、と川口は考えている。

 

 川口はこう結論付けた:「私たちはこの新時代の先導者になりたいのだ。高い目標設定は、大きな困難に直面することを意味する。私たちは強くなければいけないし、よいチームワークを築かなければならない。問題や失敗に(一々)落ち込んではならない。はやぶさの撮った地球の写真を見ると、はやぶさのこんな声が聞こえてくるような気がする。『決してあきらめるな。希望と自信と共に未来に進んでいけ!』」

 

NEW WORDS and PHRASES

 search:探す spice:香辛料 resource:資源 conclude:結論付ける discourage:落胆させる forward:先