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1/ 重要な新しいアイディアはどこから来るのだろうか?その一つは間違いなくバイオミミックリーだろう(バイオは「生命」意味し、ミミックリーは「真似する」を意味する)。
この新しい科学は自然の中で見つかったものを真似する。
これは自然を、人類の問題に解決策を提供する新しい技術を開発するために使う。
2/ 一つ例をみてみよう。
ある日、スイス人の技師が山を登っていると、たくさんのオナモミの種が
自分のジャケットと犬にくっついているのに気付いた。
種を犬から取った後、彼は注意深く観察し、種がどのように作用するかを発見した。
ギザギザの針の先が犬の毛皮にしっかりと引っかかっていた。
ある新しいアイディアが彼に思い浮かんだのはこのときだった。
日本では「マジックテープ」として知られるベルクロ(再利用できる二面ファスナー)が生まれた
フックの付いた片方の面と、輪の付いた反対の面が押され合うと、すぐにお互いがくっつく。
さらに、この2つの面は引きはがすのも簡単だ。
今日では、このようにフックと輪によるファスナーは、靴や衣類、宇宙服でさえも、あらゆる種類の製品に使われている。
現代の生活の中で、最も広く使われている発明品の1つだ。
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3/ ベルクロはバイオミミクリーのただの一例でしかない。
もう1つ例がある。
ハスは、泥状の湖や沼で育つ。
しかしハスの葉を見れば、表面は乾き、綺麗で汚れひとつないと気が付くだろう。
さらには、水滴が葉っぱから転がり落ちるのを見るかもしれない。
どのようにしてこれが可能になるのだろうか。
ハスの葉を注意深く見ると、表面に大量の細かい突起があるのがわかる。
この突起のおかげで、その上を転がる水滴はほとんど葉の表面に触れることなく、その丸い形を保っている。
風で葉が揺れれば、水滴は転がりながら、葉の表面の汚れを洗い落とす。
このようにしてハスは、葉を乾いたきれいな状態に保っているのだ。
4/ この自浄特性のことを、「ハス効果」と呼ぶ。
乾いた状態を保つには、表面が滑らかなほうが、凹凸があるものよりも良いと思うかもしれない。
しかし、ハスの葉は、ちょうどその逆を示している。
ロータス効果は、トイレの便器や家屋の壁、車の外側にある鏡など、様々な製品に応用されてきた。
意外なことに、窓にワイパーが付いていない車さえも現在開発中です。
このように、バイオミミクリーは他の方法では人類が得られなかったであろう生活面での進歩を与えてくれる。
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5/ バイオミミックリーは自然を学び、私たちの問題を解決するためにその解法を使う。
普通の注射は痛いのを知っているため、もし痛くない針が発明されれば、ほとんどの人が喜ぶだろう。
蚊にかまれても痛くないため、蚊が重要な手がかりをもっているかもしれないと研究者は考えて来た。
研究者は蚊を調べてそれがなぜ見つけた。
6/ 蚊がどのように血を吸うのかよくみてみよう。
蚊は私たちの上に乗り、細く針のような口の部位で私たちの皮膚をさす。
これらは極めて薄く(1/10mm、人間の髪の幅)、なんとか神経に触れない。
さらに重要なことに、これらの針はギザギザになっている。これによってより痛みを引き起こすと考えるかもしれないが、実際はそうではない。
なぜなら人が作った針の滑らかな表面よりもよりも少ない点の皮膚の神経に触れるからである
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9/ また、バイオミミックリーは絹のような私たちが長らく当たり前と思っていたものに目を向けるのにも有用である。
絹はカイコによって作られる。
幼虫として十分に成長すると、蚕は自らの体を絹の糸で巻いて繭を作る。
そこでカイコは成虫へと変態する。
10/ マユは、カイコが厳しい環境の中で生きのびるためのシェルターとして振る舞う。
マユから取れる絹は、驚くべき特性を持つ。
その1つは、太陽が発する有害な紫外線を吸収する能力だ。
紫外線は肌にダメージを与えうる。
かさや、帽子、化粧品でさえもが、この特性を利用するために絹からよく作り出される。
11/ 絹のような自然の物質は、水などの自然の物質を使うような環境に優しい工程で作られる。
これらは目的を果たすと、これらは分解し土に還る。
しかし人工の材料は全く逆だ。
ナイロンやその他プラスチックのような材料は、環境に被害を与えるような方法で作り出される。
このような物質が発明された当初は、それがどれだけ耐久力があるかと人々は驚いた。
今では私たちは、これはまったく望ましくないと理解している。とても頑丈すぎるので簡単には分解しないためだ。
私たちは、より自然に近い方法を使って、より自然に近い特性を持った物質を作る必要がある。
12/ バイオミミックリーは、重要な機会を提供してくれる。
自然の中には私たちを刺激するものが多くある。おそらく自然の中で上手く機能するものは、私たちにとっても上手く機能するだろう。
自然に刺激を求めよう。自然をモデルとして使いおう。
解決策は私たちの周りに全てあるのだ。